【豆知識】食べて美味しいブドウとワインにして美味しいブドウの違い
エクセレンスのTATSUROです。
今日は職場の友人から、ワインに使うブドウと食べるブドウの違いについて尋ねられましたので、意外とみなさんご存じなかったりするのかなあと思い、記事にいたしました。
食べて美味しいぶとうとワインにして美味しいブドウは何がちがうのか???
ずばり、ブドウのDNAが違います。
その1 ブドウの特徴
食用ブドウは房が大きい。そして粒が大きく、果皮が薄く果肉が大きいので食べやすくつくられています。
食べて美味しいブドウのDNAは果肉の比率が高く、甘みと酸味が心地よいバランスになっています。
対してワイン用ブドウは房が小さい。粒が小さく、果皮が厚く(果皮に近い内側が酸度が高い)、種子(種子の間が最も酸度の高い部分)が多い。
ワインに使うブドウのDNAは、粒の果肉に対して、皮や種の比率が高くなっています。
ブドウの果皮と種子やその周辺に含まれる成分がワイン造りには非常に重要となっています。
果肉(果汁)は水分でもあり、ワインの味わいを軽く(薄く)してしまいます。
そのため高級ワイン(熟成できるワイン)をつくるブドウは粒が小さくなります。
実際に収穫直前のブドウを畑で食べての感想は、
ワイン用のブドウは甘みが強く、種子を噛んでみても種子の中まで甘い
(実際に種子が赤く色付き、噛んで甘く感じる(ブドウが完熟しているサイン)のが収穫のタイミング)。
果肉が少ないので食べて美味しいけれでも、食べるところが少なく食用に向かなのかなあという印象です。
その2 ブドウのDNAには3系種ある
欧州・中東系種(ヴィティス・ヴィニフェラ種)カベルネ・ソーヴィニヨンなど
北米系種(ヴィティス・ラブルスカ種など)コンコードなど
アジア系種(ヴィティス・コワニティ種など)山ぶどうなど
Tetsuya Wine Selectionsが取り扱うすべてのワイン、
そして世界基準の高品質なワインはヴィティス・ヴィニフェラ種のブドウから造られています。
日本のワイン用ブドウとして注目される甲州もヴィティス・ヴィニフェラ種のDNAを持っています。
その3 DNAによってワインになった時の香りが大きく違う
ワインはブドウが原料にも関わらず、生ぶどう(ぶどうジュース)の香りがない方が良い。
例えばカベルネ・ソーヴィニヨン(ヴィティス・ヴィニフェラ種)であればカシスやブラックベリーの香りがあり、
さらにはスパイスやハーブにタバコの香りまで立ち上がってきます。
どれも良い香りの表現ですが、実はブドウそのものの香りを表現する言葉ではありません。
ヴィティス・ラブルスカ(北米系種)とヴィニフェラとラブルスカの交配種(ハイブリッド)のブドウ、
アルコール醗酵しワインになると、独特の強い香り(良い香りではない)を出してしまいます。
俗に言う “フォクシー・フレーバー”と呼ばれるものです。
それは生ブドウの香り、キャンディの香り、潰れたブドウの香り、土の香りなどです。
ワインの香りの中にほんの少しづつ溶け込んでいれば、それはアクセントや複雑味をだします。
しかしガツンと強烈に香ってきますので正直戸惑ってしまいます、ワインが美味しく感じなくなります。
ブドウのDNAによって、ワインにして(醸造して)良いタイプとそのまま食べて美味しいタイプがあるのです。
ネガティブなフォクシー・フレーバーをうまくコントロールして、ラブルスカやハイブリッドのブドウでもワインは造られています。
しかし、優雅で奥行きのある香りではありません。